2008.9.18更新

生活保護変更決定(老齢加算・母子加算)の
取消等の請求を求める

事件名:生存権裁判
内  容:生活保護変更決定 (老齢加算・母子加算) の取消等の請求を
     求めたもの
係属期間:京都地方裁判所(第3民事部 中村隆次裁判長)
       事件番号 平成17年(行ウ)第8号、14号  老齢加算
              平成18年(行ウ)第14号      母子加算
              平成19年(行ウ)第16号      老齢加算
次回期日:11月13日(木) 午後1時30分〜午後3時
       法廷の場所は未定です (101号法廷、80名程度の大法廷に
       なるかもしれません)。
       傍聴希望の方は、直前に京都地方裁判所1Fロビーに集合し
       てください。溢れて入れない可能性がありますが、その際は
       傍聴券が発行されることもあります。
       前回は203号法廷でしたが、次回は101号法廷 (80名程度の
       大法廷) になるかもしれません。
       ※同日、期日後に報告集会あり。京都弁護士会館の予定。
       (弁論後、そのまま全員で移動します)
次回期日の内容:国が老齢加算・母子加算削減の根拠とした 「中間取
           りまとめ」 をまとめた、在り方専門委員会の委員で
           あった後藤玲子先生の証人尋問の予定です。
紹介者:佐野就平弁護士
連絡先:生存権裁判を支える会 (075-311-9385)
     または、生存権裁判弁護団事務局
     (つくし法律事務所 075-241-2244)


【事件の概要】
(1) 当事者
   生活保護を受給している70歳以上の高齢者、母子家庭
(2) 請求の内容の概要
   老齢加算・母子加算削減処分の取消
(3) 請求の原因の概要
   そもそも生活保護受給中の高齢者世帯、母子家庭において、経常的一般生活費に加算されていた老齢加算、母子加算があって初めて、 かろうじて最低限度の生活を維持することができていた。
  しかし、地方自治体による加算の削減により、最低限度の生活を下回ることになってしまった。 したがって、削減は生活保護法、憲法25条違反である。

【手続きの経過】
  第1人目の原告の提訴後、順次追加提訴を行ってきた。老齢加算訴訟と母子加算訴訟は、併合されていないが、事実上同一の期日で審理を行っている。
  老齢加算に関し、原告側総論主張はほぼ終了した。

  2007年11月7日の口頭弁論では、原告側は証人を多数申請したが、全国の裁判の立証を待って、その調書をもって代えることも検討中。
  原告側は、追加の主張として、WHOが、避けることができた死を減らすために健康インパクト評価をしたり、公共事業で環境アセスメントをしていることから、 日本でも生活保護を切り下げる場合はなおさら、受給者の健康についてのアセスメントをするべきであり、それを経ていない老齢加算削減は違憲違法である、と主張した。
  これは、生活保護の基準設定について裁量があるとしても、適正手続が必要である、 という主張の根拠の補強である。

  母子加算については、(老齢加算のついででやっているわけでは決してないが) 双方あまり主張がなく、老齢加算と同様の証人申請をしているところ。

  2008年1月17日の期日では、老齢加算に関し、原告側総論主張がほぼ終了したのを受け、被告側が網羅的な反論を主張した。
  母子加算で、老齢加算の進行の程度に追いついていなかった部分について、膨大な準備書面の提出、要旨の口頭陳述を行った。
  母子加算についても、主張はほぼ同様である。

  2008年4月8日の期日では、原告は、貧困論、国が老齢加算削減の根拠としたデータの元データを削除したこと等について抗議の主張、 原告の生活実態等の主張をしました。被告側は反論です。

  2008年6月24日の期日で、原告側が求めたのは、老齢加算、母子加算ともに、原告宅の検証、証人尋問、原告本人尋問でした。
  ところが、裁判所は、母子加算について後藤玲子先生の証人尋問だけ認め、他は全て、原告本人尋問すら採用しませんでした。 原告ら代理人が反発する中、裁判所は制度論の問題で実態を見る必要はない言い、実態は陳述書や検証に代わる写真で十分だと言い、次回で結審すると宣言し、 一方的に閉廷して弁論を終わらせました。

  原告らの尋問も認めずに、一方的に次回結審すると宣言するというのは、裁判所の暴挙といわざるを得ません。 原告ら、弁護団、支援者としては、緊急に対策を検討する予定です。

  9月11日の進行協議期日では、突如裁判長が交代しました。 原告本人尋問をしない、特に老齢加算訴訟については当事者や証人の話を一切聞かずに結審するという暴挙が取り消されました。

  協議としては、9月16日に予定されていた後藤証人の尋問期日は、裁判長が記録をきちんと検討する時間が必要となったこともあり、延期されました。 他の当事者・証人については、誰を採用するかどうかは、時間の関係もあって結論持ち越しとなりましたが、全く採用しないということにはならないでしょう。
  原告本人尋問については、記録上申請を却下したことになっているため、再度尋問申請をすることになりました。 次回期日の証人尋問の実施、原告宅の検証と他の証人尋問が認められるかどうかが今後の焦点になります。

  弁護団、原告・支援者らの抗議活動が功を奏し、また突然の裁判長の交代という事態があり、訴訟の進行の雰囲気が全く変わりました。 少なくとも、きちんと交渉ができるようになったのではないかとの印象です。

【一言アピール】
  生活保護の保護基準そのものを争っているため、被告は京都市ですが、実質的相手方は国です。生活保護の保護基準を争うのはあの朝日訴訟以来です。

  「加算」 とは名ばかりで、「加算」 があってこそ初めて、高齢者、母子家庭の生活保護受給者は最低限度の生活を送れるというのが実態です。 ところが、国は財政削減のために、この加算を削ることにしました。

  生活保護基準の削減は、色んな制度の削減に繋がり、収入低下、福祉の有料化、高額化を招き、貧困を蔓延させることになります。 実際に、福祉の切り捨ては始まっています。
  セーフティネットとしての生活保護制度を守るべく、裁判を通じて少なくとも加算を守ることが国民生活全体の暮らしを守ることに繋がると信じています。

  現在全国8地裁 (青森、秋田、新潟、東京、京都、兵庫、広島、北九州) で係属しています。他の地裁でも提訴予定です。 裁判には多数の方々の傍聴をお願いしたいと思います。

  取材やカンパも随時募集しております。

文責 弁護士 佐野就平