2008.9.17

富川水害訴訟
事件名:富川水害訴訟
係属機関:札幌地方裁判所民事第3部合議係 坂本宗一裁判長
       平成17年(ワ)第17号 損害賠償請求事件
次回期日:11月20日(木) 午後1時30分
       傍聴希望の方は、札幌地方裁判所1階で法廷をご確認の
       8階法廷まで直接お越し下さい。
       報告集会は、期日の後14時から、北海道合同法律事務所
       (札幌市中央区大通西12丁目 北海道高等学校教職員セン
       ター内) 4階会議室で行います。 → 地図
次回期日の内容:第19回口頭弁論期日。次回期日までに、原告側は、
           被害論の各論についての陳述書その他の証拠と書
           面を提出し、被告側は、原告準備書面 (第15)(第
           16)(早すぎた退避時期の問題と乙42批判の書面)
           に対する反論の書面を提出することになりました。
紹介者:加藤丈晴弁護士
HP


【事件の概要】
(1) 2003年8月9日から10日にかけて、台風10号が北海道を襲った。この台風10号の通過によって、沙流川の支流が氾濫し、沙流郡日高町富川地区では、 55ヘクタールの土地が冠水し、その地域の建物は床上、床下浸水の被害を受けた。

  被害を受けた富川地区の住民10名 (法人1社含む) は、水害の責任は国 (北海道開発局) にあるとして、2005年1月11日、札幌地方裁判所に、 国に対して1億14万円余の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提訴した。

(2) この沙流川の上流にあるのが、「二風谷ダム裁判」 で有名になった二風谷ダムである。今回の水害にはこの二風谷ダムが大きく関係している。

  台風の通過によりダムの計画を超える降水量を記録し、北海道開発局室蘭開発建設部二風谷ダム管理事務所は、ダムそのものを守るべく、 ダムの洪水調節機能を放棄し、ダムへの流入水量と等しい量を放流する操作、いわゆる但し書き操作を行った。

  この但し書き操作が、沙流川本流の急激な水位上昇をもたらし、本流から大量の水が 「樋門」 と呼ばれる川の堤防に築かれた水門を通して富川地区の支流へ逆流し、 今回の洪水を発生させたのである。

  この樋門を管理していたのが北海道開発局室蘭開発建設部である。室蘭開発建設部は、二風谷ダムの但し書き操作により、 大量の水が沙流川に流れ込み、支流に逆流するおそれがあることを十分予見できたにもかかわらず、樋門を操作する操作員に対し、 樋門を閉じることなく退避することを指示した。 開発局は逆流が起きることが確実視される状況で樋門を開けたまま漫然と操作員を避難させたのであるから、その過失は明らかである。

【手続きの経過】
  現在12名の弁護士が弁護団を結成して、訴訟を進めている。

  すでに13回の弁論が開かれ、現在は、国賠法1項1号の問題 (逆流発生の予見可能性と浸水被害との因果関係の問題)、及び、 国賠法2条1項の問題 (樋門操作要領の内容や樋門の排水設備 (排水ポンプ) の設置に瑕疵があることについて) に分けて、主張整理が続いている。

  9月4日の期日 (第18回口頭弁論期日)では、原告側が前回期日に提出した甲第30号証及び同31号証の証拠調べと、 被告側の第15準備書面の陳述、乙第71号証から同77号証までの証拠調べが行われました (乙第75号証及び同76号証は町役場の職員の陳述書であり、 その成立の真正を確かめるため、認否は留保としました。)。
  今後の進行については、次回期日までに、当方は、被害論の各論についての陳述書その他の証拠と書面を提出し、 被告は、原告準備書面 (第15)(第16)(早すぎた退避時期の問題と乙42批判の書面) に対する反論の書面を提出することになりました。 書面等の提出期限は10月末とされました。

文責 弁護士 加藤丈晴