2008.9.17更新

横須賀強盗殺人米兵事件

事件名:横須賀強盗殺人米兵事件
内  容:加害米兵及び国を被告とする損害賠償請求事件
係属機関:横浜地方裁判所第5民事部合議係 (裁判長 水野邦夫)
       事件番号 平成18年(ワ) 第3862号
次回期日:12月3日(水) 午前10時から 横浜地方裁判所101号法廷。
       傍聴を希望される方は、直接法廷にお越しください。
次回期日の内容:口頭弁論。
           期日終了後に横浜弁護士会館において報告集会を
           予定しています。
紹介者:中村晋輔弁護士
連絡先:「米兵による女性強盗殺人犯罪を糾弾し、
                山崎さんの裁判を支援する会」
      電話 045-201-3684


【事件の概要】
  この訴訟では、米兵に殺害された佐藤好重さんの夫である山崎正則さんらが、加害米兵及び国を被告として、損害賠償請求をしています。

  平成18年1月3日早朝、神奈川県横須賀市において、空母キティホークの乗組員であった在日米海軍所属の米兵が、通行中の女性から現金を奪う目的で、 たまたま通りがかった何の罪もない佐藤好重さんを、極めて残虐な方法で殺害しました。

  佐藤好重さんは当時、出勤途中でした。加害米兵の残虐な犯行については、準備書面の中で具体的に論じています。
加害米兵は飲酒の後、早朝の時間帯に本件犯行に及んでいますが、米兵が飲酒をして、 深夜早朝に犯罪を起こす傾向は顕著なものです (提訴後、原告側は数多くの米兵犯罪統計等を入手しています)。
  なお、加害米兵は、横浜地方裁判所において強盗殺人罪で無期懲役判決を受けております。

【なぜ国も被告とするのか】
  国に対する損害賠償請求の根拠規定は、 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する規定の実施に伴う民事特別法 (民特法) 第1条、 国家賠償法第1条です。

  在日米海軍上司は、米兵による凶悪犯罪、飲酒時の犯罪、深夜早朝の犯罪などが頻発している実態をふまえて、24時を門限とする外出禁止措置、 24時以降の飲食店街への立入禁止措置、飲酒禁止措置をとるなどして本件犯行を未然に防止することが可能であったなどとして、 原告側は在日米海軍上司の監督義務違反を主張しています。

  また、国は米兵による凶悪な犯罪から国民の生命を守る義務がありながら、警察法、警察官職務執行法の規定に基づく現場パトロール、職務質問、 避難の措置等の指揮監督を行わなかったなどとして、原告側は国の作為義務違反も主張しています。

  この事件は加害米兵が職務時間外に起こした事件ですが、そのことをもって加害米兵に対する在日米海軍上司の監督義務違反は否定できません。 残虐な殺害方法は、まさに殺人訓練をしている米兵だからこそできたはずです。 しかも、加害米兵は、当時、米海軍における職務につきストレスを溜めていたことや、米国に帰国できないことに不満を募らせていたことが、 取り寄せた刑事記録から明らかになっています(なお、墨塗り部分が多いまま刑事記録が開示された点は問題であると考えています)。
  それゆえ、本件犯行は米海軍の職務と無関係なものではないのです。

【手続きの経過】
  1月23日の期日では、原告の山崎正則さんの本人尋問が行われました。
  山崎さんは、米兵に好重さんを極めて残虐な方法で殺害された悔しい気持ちを語り、 人を殺す訓練をされた米兵に街で酒を飲ませたらどういうことになるか容易にわかるはずだとして、国を厳しく批判しました。

  5月7日の期日の内容
  横須賀刑務支所での加害米兵の被告本人尋問が行われました。
  日本で米兵犯罪が頻発しているにもかかわらず、在日米海軍が兵士に対し犯罪防止のための指導をしていないことが明らかになりました。
  加害米兵は、自分の上官の名前を覚えていないなどと述べるなど、不誠実な態度に終始しました。

  7月2日の期日の内容
  弁論更新にあたり,原告ら代理人弁護士3名による意見陳述が行われました。
  裁判所から在日米海軍司令部に対して文書送付嘱託、調査嘱託が行われることになりました。

  9月10日の期日の内容
  弁論更新にあたり原告の山崎正則さんの意見陳述が行われ、山崎さんは、米軍の監督責任を認め、 国の米兵犯罪防止対策の不十分さを厳しく指摘する判決を求めました。

【一言アピール】
  この事件の後も、依然として米兵犯罪は起こり続けています。この訴訟では加害米兵個人の責任のみならず、在日米海軍上司の監督義務違反、 さらには米兵犯罪撲滅のための措置をとらない国の固有の責任を問うている点に特色があります。

  なお、「米兵による女性強盗殺人を糾弾し、山崎さんの裁判闘争を支援する会」 (山崎さんを支援する会) への入会も募集しています。 山崎さんを支援する会のホームページは以下のとおりです。裁判傍聴の呼びかけもしています。

  山崎さんを支援する会

文責 弁護士 中村晋輔