2008.9.18更新

中国人農業実習生訴訟(熊本第2次訴訟)
事件名:中国人農業実習生訴訟 (熊本第2次訴訟)
事件の内容:中国人女性らが最低賃金以下の給与で、しかも、中国で
        の約束と異なる労働 (二重派遣含む) を強いられたこと
        に対して、未払い賃金や慰謝料等を求める訴訟
係属機関:熊本地方裁判所民事第2部合議B係
次回期日:2008年9月19日(金) 午後1時30分〜 101号法廷
       傍聴希望の方は先着順ですので、早めに法廷にお越し下
       さい。
       午後1時から、熊本地裁の門前で集会を行います。
       裁判が終わったら、裁判所隣の弁護士会館で報告集会 &
       記者会見の予定です。こちらも、どなたでも参加できます
次回の予定:原告側は、主張書面と証拠を出す予定です。
        被告らも反論・主張を出しますので、お互いにその陳述を
        します。また、原告と代理人弁護士の意見陳述を行います
連絡先:熊本さくら法律事務所 TEL 096-320-8555
担当弁護士:村上雅人


【当事者】
  原告:中国人女性3人です。現地の派遣業者に多額の申込金・保証金を支払い、保証人を立て、自宅を担保にしたうえで来日しました。
  被告:第1次受入機関の 「社団法人熊本県国際農業交流協会」、第2次受入機関の農家2名、 それと、この制度に責任を持つべき財団法人国際研修協力機構 (JITCO) です。

【事件の経緯】
(1) 原告の女性たちは、トマト栽培をすると聞かされて来日し、農家で働きはじめました。
  ところが、受入れ農家は、トマト栽培だけでなく、イチゴ栽培、精肉、整地等の労働をさせ、他の農家への二重派遣を行いました。 これは、約束違反でもあり入管実務上の不正行為でもあります。 女性たちは、農家の間で労働力として貸し借りされることで、自分たちが物として扱われているような気になり、深く傷つきました。

  また、女性たちは、酷暑のビニールハウスでの作業や、冷凍倉庫での作業、力仕事を連日させられました。 そのような過酷な労働を強いられつつ、時間外労働・休日労働をさせられたのです。

  賃金は、最低賃金を大きく下回るものでした。

(2) 女性たちがひどい目にあっている間、被告協会は何もしてくれず、かえって、農家らの行為を容認する始末でした。
  また、JITCOは指導等の義務を何ら果たしませんでした。

(3) 2008年1月、女性らは劣悪な労働環境から退避して、次の受入れ先を探すことになりました。 しかし、結局、協会も彼女たちを助けてはくれないことが明らかになりました。
  そこで、女性らは、個人加盟の労働組合に入って、 先行する 「中国人実習生強制労働事件」 訴訟の原告の女性たちと同じく、 訴訟によって被告らの責任を問うに至ったのです。

【請求の内容】
・ それぞれが雇用されていた農家らに対し、未払賃金 (基本給と残業代・休日手当) の請求。
・ 被告全員に対し、慰謝料請求。
・ 逸失利益の請求 (外国人研修・技能実習制度は、研修が1年間で、その後2年間の技能実習です。 原告らは、被告らの不法行為によって、技能実習を途中で継続できなくなったため、継続できなくなってから来日3年後までの間の最低賃金相当額を、 得ることができなかった利益ということで請求しています。) 

【手続きの経過】
  6月13日の第1回口頭弁論期日では、訴状陳述と証拠提出。被告からも答弁書の陳述がありました。
  直前に出した準備書面と証拠は、次回提出の扱いになりました。文書送付嘱託・調査嘱託も後日検討となりました。 先行している熊本の第一次訴訟と足並みを揃える予定です。

【執筆者の個人的な感想】
  集団訴訟の事務局をやるのはこれが初めてなので、緊張しました。原告は正当な主張をしているのだから、もっと堂々としていればよかった、と反省しました。

【一言アピール】
  外国人研修・技能実習制度は、「技術移転等による国際貢献」 という建前を隠れ蓑にして、単純労働力の需要を満たすために利用されてきました。 裏口から大量に単純労働力を日本に受け入れるというやり方をとっているため、労働法無視、人権侵害、悪質ブローカーの介在など、 さまざまな問題がまかり通っています。

  この問題性は現在、制度自体の存続が疑問視されるほどにまで至っています。
  本訴訟においては、先行する 熊本第1次訴訟 と同様に、制度のはらむ問題点も明らかにしていくつもりです。

文責  弁護士 村上雅人