2008.10.12更新

川崎簡易裁判所での接見妨害国家賠償請求事件
事件名:川崎簡易裁判所での接見妨害国家賠償請求事件
  (裁判官が、当初から原告に弁護人を接見させる意思がまったくなく、
  刑訴規則30条による接見の日時・場所・時間の指定についてさえ何
  も考慮しなかった事例)
係属機関:東京地方裁判所民事第42部 平成19年(ワ) 28644号
次回期日:11月17日 午前11時10分〜 東京地裁527号法廷
       傍聴希望の方は、直接法廷にお越し下さい。
       報告集会の予定はありません。
次回期日の予定:第6回口頭弁論。被告国側がこれまで出してきた主
           張に対する原告側の主張・反論を行う予定
連絡先:主任代理人 遠藤憲一弁護士 03-3585-2331
     原告本人   小川光郎弁護士 044-246-4581


【事件の概要】
(1) 当事者
  原告:小川光郎
  被告:国

(2) 請求の趣旨
  被告は原告に対し金120万円及びこれに対する2007年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

(3) 請求の原因の概要
  2007年6月27日、傷害被疑事件で川崎簡易裁判所へ勾留質問に送致される被疑者に対する接見 (初回) を、その送致前、午前11時ころから接見を求めたが、 裁判官は接見場所がない・時間がないことを口実に接見を認めなかった。
  そこで、憲法34条・刑訴法39条1項に違反した違法な接見妨害として上記損害賠償を請求した事件である。

  横浜地裁川崎支部・川崎簡裁の庁舎には同行室の接見室はないが、裁判所構内での接見を、従前仮監獄の接見室や勾留質問室、調停室などで認めていた。 場所がない、時間がない、戒護要員がないという国の主張は根拠がないばかりでなく 刑事訴訟法規則30条 が裁判所構内での接見について日時・場所・時間の指定を認めるも、 接見を全面的に禁止することはできないと解釈されている (書類・物の授受は禁止できるとの明文と対照的に規定されている) ことに明白に反する。

  裁判官は当初から原告に接見させる意思がまったくなく、 刑訴規則30条による接見の日時・場所・時間の指定についてさえ何も考慮しなかった事例 (なお、裁判所書記官が仮監獄の使用について拘置所に問い合わせしようとしているのに─事実仮監獄は空いていた─、 裁判官はその結果も聞かずに接見拒否を通告した) で、 裁判官の行為の国家賠償法上の違法性についての違法制限説 (判例) によっても、 いわゆる美和国賠 (弁護人の文書授受を刑訴法81条によるものと間違えた裁判官が接見禁止の一部解除がないことを理由に、 裁判所構内での文書授受を禁じた多治見簡裁の裁判官の行為の国賠法上の違法性が認められた事例−名古屋地裁2003年5月30日判決・判例時報1823号101頁) 以上に違法性が強い事例と考えられる。

(4) 提訴までの経過
  2007年 6月27日 本件接見妨害
       6月28日 日弁連接見交通権確立実行委員会あて報告書
             提出
       6月29日 同委員会全体会で報告、支援決定
       9月25日 同委員会正副委員長会議で訴状検討
      10月31日 提訴

(5) 提訴後の手続きの経過
  2008年 1月28日 第1回口頭弁論 訴状・答弁書陳述、被告に対し
             求釈明
  2008年 3月10日 第2回口頭弁論 原告準備書面 (1) 陳述
  2008年 5月19日 第3回口頭弁論 裁判官交代 (裁判長・両陪席と
             も) 更新手続、被告準備書面 (1) 陳述、被告に
             対する求釈明

    ※ 訴 状     ※ 準備書面 (1)


  7月14日の期日では、被告の準備書面 (2)(2008年6月4日付原告の求釈明に対する被告の釈明) 陳述、面会室等についての抜粋図面の提出、 原告甲1号証接見マニュアル提出。
  被告の主張によると、書記官の判断で仮監獄の面会室の使用の調整を試みたが、 裁判官が接見を認めないと判断し書記官がその旨連絡したため調整は行われなかった。
  結局、裁判官は接見について何らの調整も行っていなかったのであり、終始接見させる意思がまったくなかった事実が明らかになった。
  また被告の提出した図面は縮尺も寸法も一切記載がなく、被疑者を移動させる距離があるから接見時間がない、という被告の主張の立証になっていない。

  9月22日の口頭弁論は、被告が前回期日で言っていた報告書 (県警の留置管理課による当日の川崎簡易裁判所への押送についての回答書) が提出されましたが、 簡単なもので、それに基づいて従前の時間の特定をしなおしてきた程度でした。
  大した進展はありませんが、その結果、被疑者が裁判所に事実上いた時間が20分から40分になりました。 この延びた時間だけでも接見させられるはずですが。

  次回は国側がこれまで出してきた主張に対する原告側の主張・反論です。

文責 弁護士 小川光郎